「上司に会社を退職したいと伝えたら、無責任扱いされて空気が悪くなった」
「次の人が決まるまで待ってほしい」と退職を引き止められた。
あなたは、今、会社でそんなことを言われ、誰にも相談できずに困り果てていないでしょうか?
会社を辞めたいのに辞めさせてくれない状況って、ほんとーに、辛いですよね……。
でも、大丈夫ですよ!辞められます。
今回は、私Webライター6年目のシモが、会社を辞めたいのに辞められずに困り果てている40代サラリーマンのあなたに、「退職を告げても無責任じゃない理由」をお伝えしたいと思います。
私も、40代で2度の退職引き止めにあったので、よくわかります。なにかお役に立てるかもしれません。
この記事を読むことで、あなたの悩みは解決しますよ!
- 雇用期間の定めに従って退職が可能であること
- 仕事を辞めさせてくれないのは違法であること
- 辞められない時の具体的な方法があること
会社を退職するのは無責任じゃないワケ
「いま会社を辞めるのは、無責任だ!」と、不安を駆り立て辞めさせてくれない上司がいます。
しかし、会社を辞めることは無責任ではありませんよ。
なぜなら、会社を辞めるのは労働者として当然の権利だからです。
ただ、辞めるのを伝えるタイミングは、労働条件によって異なることだけは理解しておきましょう。
具体的には、無期雇用と有期雇用の2つのパターンがあります。
パターン1 雇用期間の定めがない正社員として働いている場合。2週間前に告げる
無期雇用(正社員)として働いているなら、退職の2週間前に告げれば辞められます。
民法第627条1項で、規定が設けられていることが理由です。
また、退職日は「退職を申し出た日の翌日から数えて2週間後」となります。(土日祝日を含む)
第627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
引用元:厚生労働省 労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料
退職の2週間前にしっかりと会社に伝えていれば、「辞めるのは無責任だ!」などと言われても、気にする必要はありませんよ。
ただし、年俸制で働く場合は、3カ月前に退職を伝えなければいけないと、民法第627条2項に定められています。
第627条2項
6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。
引用元:厚生労働省 労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料
パターン2 雇用期間が定められている派遣社員・契約社員として働いている場合。契約更新満了の1カ月前に告げる
雇用期間の定めがある「派遣社員」や「契約社員」として働いている場合は、基本的に契約途中で退職できません。
会社と労働者間で、あらかじめ期間を決めて労働契約を結んでいることが理由です。
しかし、契約が満了したら辞めることができます。
その場合、辞めるのを告げるタイミングは、契約更新満了の約1か月前が一般的です。
退職時期は下記の通りです。
月の前半に退職の意思を示したなら、当月末に退職可能
月の後半に申告した場合は、翌月末に退職可能
ただし、やむを得ない理由がある場合は、例外としてすぐに辞めることが認められています。
「会社の賃金未払い」「パワハラ」「病気」などです。
民法第628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
(引用元:厚生労働省 労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/01/s0117-4f5.html
仕事を辞めさせてくれない4つのケースと違法性
「仕事を辞めたいのに、会社がなんらかの理由をつけて辞めさせてくれない」
この章では、会社が仕事を辞めさせてくれない具体的な4つのケースと、その違法性について取り上げてみたいと思います。
①退職届を受け取らない
会社が仕事を辞めさせてくれない時に起こす行動の1つめは、退職届を受け取らないパターンです。
退職したい旨を伝えているのに、上司が受け取りを拒否するのは違法です。
有期雇用と無期雇用の違いはあるものの、退職時期が定められているからです。
仮に、上司が退職届をいつまでも受け取らなかったとしても、「辞めたい意思」を告げているので、問題ありません。
②懲戒解雇扱いにしようとする
会社が仕事を辞めさせてくれない時に起こす行動の2つめは、懲戒解雇扱いにしようとするパターンです。
社内で不正を行ったり、ルール違反を繰り返したりして会社に損害を与えた社員に対して課す重い処分のこと。
具体的に会社を懲戒解雇される理由として考えられるのは、セクハラやパワハラなどのハラスメント行為や会社の資金を横領するなどです。
懲戒解雇にされると、「重責解雇」として離職票に記載されてしまうことになるため、退職金が出なくなります。
しかし、不正を行ったわけでもなく、退職の意思を会社に伝えただけで「懲戒解雇扱い」にすることは不可能です。
違法にあたるので、そのような場合は、弁護士や労働基準監督署に相談しましょう。
③退職者の有給休暇を消化させない
会社が仕事を辞めさせてくれない時に起こす行動の3つめは、有給休暇を与えようとしないパターンです。
どんなに会社の引き継ぎ作業が残っていたとしても、退職が決まったら有給休暇を使うことができます。
有給休暇の取得は、働く人に平等に与えられた権利だからです。
具体的な有給休暇の取得条件は、下記の通りです。
- 雇い入れの日から6カ月継続勤務していること
- 全労働日の8割以上出勤していること
(参照:厚生労働省【リーフレットシリーズ労基法39条】)
④損害賠償請求をしてくる
会社が仕事を辞めさせてくれない時に起こす行動の4つめは、損害賠償請求をしてくるケースです。
「仕事に穴をあけたから」などが請求の理由としてあげられますが、会社は社員に損害賠償請求はできません。
民法第627条1項の解約の申し入れから2週間が経過すれば業務が終了と定められているのが理由です。
そのため、社員が会社にお金を払う義務はありません。
ただし、退職する社員が会社に重大な損失を与えたなら、損害賠償請求されることはありえます。
例えば、「会社の顧客情報をSNSなどに公開する」「会社の指示にない取引を成立させる」などのケースです。
会社に重大な損失を与えていないのであれば損害賠償を請求されることはないので、請求された場合は断固拒否しましょう。
会社が退職しようとする社員を引き止める3つの理由
執拗に会社を辞めようとする社員を引き止めようとするのには、理由がありそうです。
この章では、会社が退職しようとする社員を辞めさせてくれない主な3つの理由について取り上げます。
①人手不足で代わりの人がいない
会社が仕事を辞めさせてくれない理由の一つに、人手不足があげられます。
人員が少ないのに辞められると、業務に支障が出るからです。
よくある引き延ばしのパターンとして、「代りの人が入るまで待ってほしい」というものがあります。
このように、社員がやめることを引き延ばす行為は、「在職強要」と呼ばれているようです。
しかし、退職を先延ばしにするのは不当な拘束で、違法にあたります。
人手が足りないのは自分の責任ではなく、新たな人材募集をしていない会社の責任もあると割り切って、退職を決めたなら気にせず意思を貫きましょう。
②会社が離職率や採用コストを気にする
所属する会社が離職率を気にするばかりに、仕事を辞めさせてくれないことも考えられます。
転職サイトやSNSなどで「離職率が高い会社」として悪い評判がつくと、今後の採用にも影響しかねないからです。
また、離職されることにより、採用までに掛かったコストが無駄になってしまうこともあげられます。
リクルート就職未来研究所の「就職白書2020」によれば、中途採用社員の平均的な採用コストは103.3万円かかると言われている。
(参考:就職未来研究所「就職白書2020」11P)
会社側としては、新たな人材を採用するために、無駄なコストを掛けたくないところです。
そのような理由から仕事を辞めさせないよう説得してくるケースもあるかもしれませんが、会社にどんな事情があっても流されず、仕事を辞めるための行動を取り続けましょう。
③上司が自分の評価を下げるのが嫌だから
上司が自分の評価を気にするばかりに仕事を辞めさせてくれないことは、よくあることです。
「あの部署は、退職者が多い」とのイメージが付いて、自分の管理者としての立場が危うくなるのを避けたいのです。
そのため、「会社を辞めるのは無責任」と、理由を付けて辞めさせてくれないのかもしれません。
【実録!】40代で2度の退職引き留めにあった私の体験談
私は、40代で3回の転職を経験していますが、そのうちの2度(43歳と45歳)は、退職を試みた際にこじれた経験です。
この章では、実際に私が43歳と45歳で経験した引き止め体験談をお話ししたいと思います。
①43歳で転職した会社で退職引き止めにあった時の体験談
まずは、43歳の時に転職した会社で、仕事を辞めるのに苦労した体験談です。
会社は、従業員が4人ほどの小さな会社で、社長との距離も非常に近く、なかなか退職を言い出せない環境でした。
正社員として働いていたので、2週間前のルールを守って、退職の意思を社長に伝えるとあっさり退職を承諾。
しかし、辞めることを表明した翌日から、社長の追求が始まったんです。
「なぜ、やめるのか?」
「社内の人間関係が嫌だったのか?」
「次に決まっている仕事はあるのか?」などと詳しく聞き出そうとします。
本音は、社会保険に未加入だったり、小さな会社の独特の人間関係が嫌だったりが理由だったんですが、なかなか言えずに困りました。
最終的に辞めることはできたのですが、次にやりたい仕事も決まっていない状態で辞めると伝えたために、理由が曖昧でつけ込まれてしまったのかな。と今では思います。
もし辞めるなら、私のような追及をかわすためにも、嘘でも「やりたいことがある」と、強い意志で伝えた方がいいと思いますよ!
②45歳で転職した会社で退職引き止めにあった時の体験談
次に45歳で転職した会社での体験談です。
正社員として採用されたものの、実際はある大手メーカーへ派遣される働き方でした。
ほとんどが派遣社員で、プロパー社員(生え抜きの社員)がわずか数名という構成。
プロパー社員が常に派遣社員を怒鳴りつけているような、働きにくい環境です。
そのような環境に耐えられなかった私は、精神的に参ってしまい退職を決意。
派遣元に相談したところ、上司2人に喫茶店に呼び出されます。
「会社として派遣契約が残っているのに、どれだけの人に迷惑がかかるかわかってる?」
「社会通念上、そんなことをするのは考えられない。これ、懲戒ものだよ?」
などの言葉を投げかけられました。
それに対して私は、「会社の就業規則で1カ月前に退職の意志を告げると書いてあったのに従ったんですが」と話しますが、「そんなルールは関係ない」と告げられてしまいました。
一方の派遣先の会社では、「途中で仕事に穴を空けるなんて、会社の損失を埋めることが出来るの?」としつこく迫られ、参った記憶があります。
その後、仕事をしながら転職活動をつづけ、webライター職を見つけたことがきっかけで、なんとか辞めることができましたが、なかなか辛い体験でした。
どうしても退職できないときに取るべき3つの行動
会社を辞めさせてもらえず、誰にも相談できないとなると、孤独感でいっぱいになりますよね。
私の40代の2回の退職時にも悩みを打ち明ける人がいなかったので、よくわかりますよ。
この章では、どうしても退職できない時に取るべき、3つの行動について紹介します。
①まずは労働基準監督署に相談してみる
どうしても仕事を辞めさせてくれないなら、まずは、公的機関に相談してみましょう。
各地の労働基準監督署内には、「総合労働相談コーナー」があります。
労働問題のプロである労働基準監督署の職員が相談に乗ってくれるため、精神的にも安心できるのがメリットです。
相談する前に、メールや録音などの証拠を残せるなら残しておくと、具体的に話しやすくなります。
場合によっては会社に指導勧告をしてくれる可能性もありますが、強制力がないのがデメリットです。
改善しない場合は、法律のプロである弁護士に相談してみることをおすすめします。
私も一度、相談したことがありますが、親身に話を聞いてくれた記憶があります。
退職の直接的な解決にはなりませんでしたが、相談できる相手がいるということで精神的な安定につながったと記憶していますよ。
②内容証明を郵送する
退職届を提出しても辞めさせてくれないなら、会社に内容証明を郵送する方法があります。
一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
引用元:(郵便局ホームページ 内容証明)
内容証明は、会社が実際に退職届を受け取るかどうかに関わらず、退職する意思を会社に伝えた証拠となるため、どうしても辞められない場合は、有効といえます。
ちなみに、内容証明の謄本(とうほん)は、もととなる退職届の内容をすべて書き写したものです。
また、内容証明を送るときは、配達証明を付けて配達記録を残しておきましょう。
配達証明は、郵便物が相手にも配達されたとの証拠になるものです。
ちなみに、今は24時間受付のインターネットでできるe内容証明(電子内容証明)といったサービスもありますよ。
③退職代行サービスを利用する
最終的には、退職代行サービスを利用する方法もあります。
退職したい労働者に代わり、弁護士や退職代行業者が、退職の意志を伝えてくれるサービス
退職代行サービスを頼む場合、法律の専門家である「弁護士事務所」や有休消化・賃金未払いの交渉ができる「労働組合」が運営する退職代行業者を選ぶ必要があります。
法律の専門家である弁護士資格を持たない業者が行う退職代行サービスは、法的な効力がないため、基本的には退職の意志を伝えるだけしかできないためです。
場合によっては、正しい手続きを経て退職できないケースも考えられます。
退職代行サービスを頼む前には、運営する業者がどのようなところかを確認してから利用するとよいでしょう。
退職代行サービスの料金相場は、一般的に下記のとおりです。
- 弁護士事務所 50,000円~100,000円
- 労働組合運営 25,000円
やむにやまれぬ理由で利用するのであれば、サービスを使うのもありですね。
私が40代の時は退職代行サービスがなかったので、内容証明を郵送して退職しました。
アルバイトながらwebライター職を得て退職の意志を告げましたが、それでもなんとなく辞められない空気だったからです。
当時、このサービスがあったら、どれほど助かっただろうかと思います。
引き止めに負けず退職を決め、次のステージへ進みましょう!
今回は会社を辞めると伝えているのに無責任と言われ、困り果てている40代サラリーマンのみなさんに向けて、退職をするのは無責任じゃない理由を私の経験談も交えお伝えしてきました。
- 会社を辞めるのは労働者の権利として当たり前なので無責任ではない
- 雇用期間の定めがあるなしで、退職を伝える時期が異なる
- 仕事を辞めさせてくれないのは違法
- 会社が退職しようとする社員を引き止めるのは、「人手不足」「離職率や採用コスト」「上司が自分の評価を下げる」などの理由が潜んでいる
- どうしても退職できない場合は、「労働基準監督署へ相談」「内容証明の郵送」「退職代行サービスを利用」
会社がさまざまな理由を付けてあなたの退職を阻止しようとしても、弱気にならずに退職の意思を貫くことが大切です。
晴れて退職できることになったら、自分に合う働き方を見つけて、あなたが活き活きと働けることを願っています。
それは、転職ではなく、フリーランスとしての働き方かもしれませんよ。
キャリアに悩んだら、キャリアコーチングに相談するのもおすすめです。
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